
10月5日、神奈川県小田原市を拠点に、県内西部で営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の事業を展開されている小田原かなごてファーム代表・小山田大和さんの講演に参加しました。講演のタイトルは「食エネ自給のまちづくりと営農型太陽光発電」でした。
営農型太陽光発電とは、太陽光パネルの下で農業を行うという新しい形の農業であり、現在注目を集めている取り組みです。小山田さんは、耕作放棄地となってしまった農地をもつ農家の方々へ声をかけ、その農地を「電力発電」と「農業」の複合産業として復活させるべく活動を続けておられます。現在すでに、小田原市や開成町など神奈川県西部の8か所で事業を展開されており、昨年は「第1回かながわ脱炭素大賞」を受賞されています。また、全国的に見ると営農型太陽光発電の多くは、静岡県や千葉県などの茶畑の上にパネルを設置するケースが中心ですが、小山田さんは水田耕作と組み合わせた形で進めており、このような事例は全国的にも非常に稀だそうです。
現在、日本の食料自給率はカロリーベースで40%にも満たず、農業人口も20年後には現在の4分の1である約30万人になると言われています。お米不足が話題になっている今、小山田さんは「ただ増産する」という発想ではなく、日本の歴史や伝統、文化の根底にある稲作の価値そのものを見直すことが必要ではないかと訴えられました。また、農業をエネルギー生産や加工・販売と結びつけて「六次産業化」を図ることで、より持続可能で収益性の高い産業へと変えていきたいとお話されました。それにより、若い世代にとっても魅力ある仕事として農業が選ばれるような未来を目指したいという強い思いが語られました。
小山田さんの事業の根底には、日本の伝統や文化を大切にする視点があります。その姿勢は、私たちGreenFaith Japanにとっても、自らの活動を単なる環境運動としてではなく、より深く、広い視野から捉え直す大切さを気づかせてくれるものでした。今後とも、小山田さんの活動に注目していきたいと思います。