化石燃料不拡散条約(FFNPT)アジア会合参加

December 29, 2024

“FFNPTアジア会合への参加”

グリーンフェイス・ジャパンは、12月17日から20日にネパールで開催された化石燃料不拡散条約(FFNPT)のアジア会合に参加しました。会議にはアジア各国から約40名の環境運動家が集まり、化石燃料削減の重要性や地域ごとの課題、連携について話し合いが行われました。このアジア会合には、インド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、カンボジア、タイ、そして日本からFriends of Earth(FoE)、350.org、Climate Action Network(CAN)、ラウダ―ト・シ、マレーシア森林保護団体などが参加しました。

“化石燃料不拡散条約(FFNPT)の役割”

FFNPT(化石燃料不拡散条約)は、化石燃料の生産を段階的に廃止し、安全で費用対効果の高い解決策への迅速な移行を目指しています。この運動は元々アフリカの市民団体によって始められ、現在では世界的な運動となり、新たな化石燃料プロジェクトの拡大を防ぐことを目指しています。FFNPTは、2015年のパリCOPで合意された、産業革命以前の水準からの気温上昇を1.5度に抑える目標に貢献する重要な取り組みです。現在の加盟国には、バヌアツやツバルなどの太平洋諸島国家を中心に16か国が含まれ、世界保健機関や欧州会議、ロサンゼルスやパリなどの123の都市、48か国から850人の議員、100名を超えるノーベル賞受賞者、3,000人以上の科学者が加盟しており、さらに多くの国や団体の加盟を目指しています。日本では、創価学会インターナショナルが唯一の加盟団体となっています。

“アジア地域におけるSWOP”

12月18日は、各団体の自己紹介やFFNPTの紹介、そしてアジア地域におけるこの運動のSWOP分析(強み、弱み、可能性、脅威)についてのディスカッションと発表が行われ、以下の意見が挙げられました。

>>強み

・地理的・気候的・生態系的共通性がある
・経験を積んだ市民団体が多い
・青年人口が多いため活動がパワフルに行える
・アジアの地理的条件が再生エネルギーに転換しやすい
・天然資源が豊かである
・ASEANやSAARCといった共同体がある
・メディアが連携している

>>弱み

・人々の関心が低い
・政治不安や政策運営の未熟さ
・管理システムの貧弱さ
・人口が多いため情報の普及が難しい
・貧困と不平等が蔓延している

>>可能性

・この条約によって国々の連帯意識が高まる
・世界銀行やIMFの援助が受けられる
・気候危機について事実を世界に伝えやすい地域である

>>脅威

・グローバルノース(欧米)の政治変動(右傾化)
・世界での紛争の増加
・負債による財政の圧迫
・インフレの日常化
・貧困の悪循環

“ネパール都市の化石燃料不拡散条約への賛同と意見”

12月19日には、南半球およびアジアで最も早く化石燃料不拡散条約に賛同した都市であるネパールのドゥリクエル市の市長とイタハリ市の関係者によるパネルディスカッションが行われました。同条約に賛同した理由について、市長は安全で清潔かつ環境にやさしい都市づくりに役立つと考えたことを挙げました。さらに、首都カトマンズがこれらの条件を満たしていないため、ドゥリクエル市を首都に代わる都市にしたいと述べました。

“アジアにおける経済発展と化石燃料削減の議論”

同日には、「アジアにおいてどうすれば経済発展とともに化石燃料を減らすことができるか」というテーマで、6名の会議参加者によるパネルディスカッションも行われ、以下の意見が挙げられました。

・国家プロジェクトではなく、地域での小規模な発電活動を増やす
・一部の人だけで進めるのではなく、青年団体、女性団体、宗教団体、議会など、様々なグループと協力して包括的に気候運動を進める
・地域に根付いた運動として小規模な予算から活動を始める
・政府のNDC(国別自主貢献)を考慮しながら政府に働きかける

“市民運動を進める際の留意点”

市民運動を進める際に留意すべき点について、市民、環境団体、企業の各役割をロールプレイしながら意見交換が行われました。活動を進める前に全体的な戦略を立てることの重要性や、芸術や音楽を活用して多くの人が楽しく参加できる方法についても議論されました。

“化石燃料不拡散条約(FFNPT)の捉え方”

最終日である12月20日には、FFNPTのパートナーシップコーディネーターでネパール在住のシバヤン・ラハ氏よりFFNPTを私たちがどのように捉えていくべきかについて話がありました。FFNPTは、特定の条項を備えた条約というよりも、環境運動に取り組むグループ間のコミュニケーションを促進するためのプラットフォームです。シバヤン・ラハ氏は、「FFNPTの特徴は連帯と協働的活動にあり、私たちは皆さんの行動の一部として機能することを目指している」「FFNPTはその声に応えて資金援助を含む支援を行っていく考えである」と述べました。

午後には、南アジアチーム(パキスタン、インド、バングラデシュ、ネパール)と東南アジアチーム(タイ、フィリピン、カンボジア、マレーシア、インドネシア、日本)に分かれ、それぞれの国が抱える課題について組織を超えて話し合い、今後の連携方法を議論しました。また、終了にあたって、地元ドゥリクエル郡の行政官が出席し、今後とも環境に優しく、住民の幸福につながる努力を続けていきたいこと、そして現在ネパールにおいては2都市がFFNPTに賛同署名しているが、より多くの都市が賛同するように努めていきたい旨を述べました。

“日本の化石燃料政策に対する東南アジアの失望”

この会合の中で、東南アジアの活動家たちからは、日本の化石燃料政策に対する深い失望の声が聞かれました。バングラデシュの活動家は、日本の投資を化石燃料から再生可能エネルギーへの支援に変更し、自立を支援してほしいと訴えました。また、カンボジアの活動家は、日本の水素発電事業やCCS(二酸化炭素の地下貯留事業)が東南アジアの人々に利益をもたらさないと失望の声を上げました。

”今後の連携と未来への決意”

南アジアや東南アジアの国々で環境保全や気候正義の活動に取り組むさまざまな団体が、団体の枠を超えて話し合い、今後の連携について議論できたことは、私たちグリーンフェイス・ジャパンを含む参加者にとって非常に有益でした。今回の会議では、日本からの参加者は一人だけでしたが、他国の参加者からは日本への期待が寄せられました。特に、日本からの道路などのインフラ支援には感謝の声がありましたが、一方で化石燃料関連の支援については、地球温暖化だけでなく、地域住民の産業や生活を圧迫しているとの批判もあり、これらの声をより多くの日本人に伝えたいと思いました。
この会合に参加した多くの団体は、日本にも支部や連携する組織、団体、友人を持っており、市民団体間のつながりが強いと感じました。グリーンフェイス・ジャパンも、今後アジアおよび国内の団体と連携して市民運動を盛り上げることがFFNPTの活動主旨に合致すると受け止めており、より一層環境保全と気候正義のために力を尽くし、持続可能な未来を目指して邁進していきます。

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