グリーンフェイス・ジャパンは、日本が石炭開発への支援を段階的に中止し、代わりに再生可能エネルギーを支援する必要性について認識を高めるため、2024年10月22日から26日にかけて、日本の青年宗教指導者とともに、インドネシアの西ジャワ州にあるインドラマユ石炭火力発電所への訪問を含む、教育ツアーを実施しました。
“エネルギー転換と宗教間の役割について”
2024年10月23日、グリーンフェイス・ジャパンとグリーンフェイス・インドネシアは、「インドネシアにおけるエネルギー転換と宗教間の役割に関する対話」と題した勉強会を開催しました。このイベントには、日本からの宗教間団体の代表者や、インドネシアの宗教指導者、政府関係者などが参加し、エネルギー転換とその社会的影響について議論しました。宗教団体のプレゼンテーションや、環境運動における宗教の役割について話し合われ、日本がインドネシアに与える影響や、化石燃料から環境に優しいエネルギーへの転換の重要性が強調されました。
“インドラマユ石炭火力発電所への訪問”
2024年10月24日、グリーンフェイス・ジャパンとグリーンフェイス・インドネシアは、WALHIとともに「インドラマユ石炭火力発電所」を訪問しました。インドラマユ石炭火力発電所は、インドネシアのジャカルタの東数百キロの所に位置しており、同国のエネルギー資源として利用されていますが、深刻な農業被害や環境被害も引き起こしています。KEBUMI のRicka Ayu氏は、「政府は石炭とバイオマスの混焼による火力発電を推進していますが、大気汚染による健康被害(特に呼吸器系の疾患)が出ており、石炭火力からの早期撤退を求めています」と述べました。
WALHI‥インドネシア国内最大の環境保護団体
KEBUMI‥インドネシアの環境保護と気候変動に関する健康問題に取り組む非営利団体
“ムカルサリ村の人々の思い”
私たちは石炭開発の影響を受けている地域社会の人々と会い、彼らが環境と地域社会を守るために行っていることを目の当たりにしました。
現地の漁業関係者は、「インドラマユ石炭火力発電所一号機ができてから、発電所の排出液によって海が汚染され、それまで取れていた小エビや魚が死んでしまい捕れなくなった」と話します。一号機稼働により深刻な被害を受けている中、インドネシア国内では二号機の建設案が進められていました。インドネシア政府が進めていた第二号機の建設には、当初日本の政府機関も支援を行っていましたが、地元の人々と環境団体が連携して反対運動を行い、約5年かけて第2号機の建設を阻止することに成功しました。彼らは日本大使館だけでなく、日本を訪れ、議員や関係者に訴えたと言います。その努力により、現状では発電所の建設は止まっていますが、インドネシア政府の10カ年エネルギー計画から建設計画が完全になくなったわけではありません。ムカルサリ村の人々にとってこの土地は神様から賜った土地であり、農業や漁業は神様からの恵みです。彼らはこれを子孫に永遠に繋げていきたいという強い思いを抱いています。彼らの戦いはこれからも続いていきます。
“石炭から再生可能エネルギーへ ‐日本が世界に与える影響‐”
石炭は世界で最も汚染の激しい化石燃料です。日本は先進国の中で唯一、石炭を主要なエネルギー源として使い続けています。国内外の石炭火力発電所の開発も進めており、日本が支援する海外の石炭火力発電所も多くの問題を引き起こしています。石炭は大量の温室効果ガスを排出し、大気汚染や有毒物質の汚染を引き起こし、発電所近隣の地域社会に害を及ぼしています。こうした問題について声を上げる住民は、しばしば政府や警察当局から脅迫や嫌がらせを受けています。気候と人々の暮らしを守るためには、公正でクリーンなエネルギーへの迅速な移行がこれまで以上に重要です。日本には信仰心を持ち、影響力のある団体が多く存在しています。GreenFaithは、これらの団体の道徳的・文化的影響力を踏まえ、市民団体との協力とパートナーシップの強化に努めます。2025年初頭、日本政府は今後数年間のエネルギー政策の指針となる新しいエネルギー基本計画を採択します。この計画によって、日本が石炭から脱却し、再生可能エネルギーへと移行することが、国内的にも国際的にも重要です。私たちと共に、より持続可能な未来に貢献しましょう。